お彼岸を迎えて
2025.9.19
お彼岸とは、昼と夜の長さが同じになる春分と秋分の日をはさんで前後一週間のことをいいます。一般的には先祖の供養をする行事とされ、この時期になると、先祖のお墓やお寺にお参りをするため、遠いところに住んでいる人たちも故郷に戻ってこられます。
しかし、お彼岸というのは、浄土真宗では、亡き人々に供物を捧げ、追善供養する行事ではありません。
「彼岸」という言葉はもともと、生死の迷いの世界であるこの世を「此岸」と言うのに対し、此岸を超えたさとりの世界、阿弥陀仏の「浄土」を指す言葉です。その浄土は、私たちが還っていく世界であると同時に、此岸に生きる私たちの在り方を照らし、「あなたは何を尊いこととして生きていますか」と問いかけてくる世界です。
浄土に還っていかれた亡き人を偲ぶとともに、あらためてその問いかけに耳を傾け、自分の生活を振り返る大切なときとして、お彼岸をお迎えしたいものです。
(東本願寺出版:『仏教・仏事のハテナ?』より)